城好き女子一人旅に松江城がちょうどいい理由|国宝天守の機能美と城下町散歩で心が整う旅
国宝の重み、機能美の天守。
国宝の重みをまといながら、松江城は不思議なくらい静かで、凛としていて、ひとり旅の心を整えてくれる天守でした。
ひとりで旅に出たい。
でも、にぎやかな観光地で人に揉まれる元気はない。
「城は好きだけど、ひとりで行って浮かないかな」──そんな気持ちになる日もあります。
そんなときに、ちょうどよく心が整う場所がありました。
島根・松江にある松江城です。
松江城は、現存12天守のひとつで、国宝天守でもあります。
「国宝」と聞くと少し身構えるかもしれませんが、松江城の良さは、偉大さだけではなく、旅人にとっての“やさしさ”があることだと思います。
現存天守の凛とした静けさ。
お堀の水面がつくる、柔らかい空気。
城下町の歩きやすさ。
そして、ひとりでも「居場所がある」と感じられる落ち着いた街のテンポ。
この記事では、城好き女子の一人旅目線で、松江城が“ちょうどいい”理由と、楽しみ方のコツをまとめます。
旅の予定を立てる前に、軽く読めるガイドとして使ってください。
松江城は「ひとり旅向きの城」だった
松江城は、全国に12しかない現存天守のひとつ。
それだけでも城好きとしては胸が高鳴ります。
でも、松江城の良さは「すごい」だけではありません。
実際に歩いて感じるのは、ひとりでも過ごしやすい静けさです。
大きすぎて疲れ果てるわけでもなく、
小さすぎて物足りないわけでもない。
「今日の体力でも大丈夫」と思えるボリューム感が、すごく安心でした。
城好き女子一人旅に松江城がおすすめな理由
1)お堀の景色が“心のノイズ”を消してくれる
松江城のいちばんの特徴は、城が水に包まれていることです。
お堀がめぐり、視界のどこかに水面が入ってくる。
それだけで空気が少しやわらかくなり、心も落ち着いていきます。
ひとり旅って、本当は「自由」のはずなのに、
どこかで“ちゃんと楽しめているかな”と自分を急かしてしまうことがあります。
でも、水辺の景色は、そういう焦りをふっと緩めてくれます。
何かを達成しなくても、ただ眺めるだけでいい。
松江城は、そんなふうに旅の圧を下げてくれる場所でした。
2)現存天守の静けさが、背筋をまっすぐにしてくれる
現存天守には、展示の派手さとは別の「圧」があります。
静かで、揺るがない。
その存在感に、こちらの心が自然と整っていきます。
松江城は別名「千鳥城」とも呼ばれますが、
可愛らしさというより、芯のある美しさを感じる天守です。
3)“城だけ”で終わらない。城下町が一人旅に優しい
城が素晴らしくても、周辺が歩きにくいと、ひとり旅は途端に疲れます。
松江は、城下町としての空気が残っていて、歩くテンポがちょうどいいです。
カフェや甘味、静かな散歩道など、
ひとりで立ち寄っても浮かない場所が多いのも安心ポイントです。
松江の城下町は、大通りを歩くだけでも楽しいのですが、
少しだけ細い路地へ入ると、思わぬ発見があったりします。
ひとり旅の良さって、予定にない寄り道を「自分の判断でできる」こと。
松江は、その寄り道が心地よく成立する街です。
最近は、松江ゴーストツアーのような企画も開催されていて、
朝ドラ「ばけばけ」の空気に、そっと乗っている感じがします。
こういう“街ぐるみの小さな盛り上がり”も、旅人にはうれしいものです。
そして、松江は「お茶の時間」が似合う街でもあります。
茶人として有名な不昧公(ふまいこう)ゆかりの普門院でいただく抹茶は、格別です。
城を歩いたあとに、甘さではなく“静けさ”で満たされるような感覚が残ります。
松江城ひとり旅|回り方のコツ(初心者向け)
STEP1:いきなり天守でもOK。でも余裕があるなら“お堀めぐり”が効く
いきなり天守へ向かってももちろん楽しいのですが、
時間に余裕がある人には、遊覧船でお堀をゆっくりめぐるのもおすすめです。
水面を見ながら移動する時間は、旅の気持ちを自然に整えてくれます。
STEP2:天守は“急いで登らない”が正解
城好きだと、どうしても早く天守を見たくなります。
でも松江城は、急ぐよりも、ひとつずつ味わった方が満足度が上がります。
階段は急な部分もあるので、
足元を意識しながら、景色を区切って楽しむのが◎です。
STEP3:城下町は“帰り道”として歩く
旅は、行きより帰り道のほうが心に残ることがあります。
天守を見終えたあとに、城下町を少しだけ歩く。
その時間が、静かな余韻になります。
城好き女子一人旅の持ち物(松江城編)
松江城を心地よく歩くために、最低限これだけあると安心です。
- 歩きやすい靴(階段と石段があるので必須)
- 羽織れる上着(堀沿いは体感温度が変わりやすい)
- 小さめの水分(“喉が渇く前に飲む”のが一人旅のコツ)
- スマホの充電(写真+地図で想像以上に減ります)
そして何より大事なのは、
「全部回らなくていい」と自分に許可を出しておくことです。
ひとりで城に行くのが不安な人へ(女子目線の安心ポイント)
ひとり旅が不安になる理由って、実は「危険」よりも、
心細さだったりします。
松江城は、人が多すぎず少なすぎず、
観光としての安心感がある場所です。
それが、ひとりの心をちょうどよく支えてくれます。
もし、ひとりで城へ行くのが久しぶりなら、
最初は「30分だけでも行けたらOK」と決めるのがおすすめです。
旅を成功させるのは、距離ではなく、回復できたかどうかです。
松江城は、築城の背景を知るともっと面白い
松江城の歴史をざっくり知っておくと、旅の景色が一段深くなります。
城を見る目が“観光”から“読み解き”に変わる感覚です。
松江城の築城に関わったのは、関ヶ原の合戦で功績のあった堀尾忠氏。
出雲へ転封され、当初は月山富田城に入ったものの、立地の問題から、より統治にふさわしい場所を探すことになります。
その後、忠氏が亡くなり、わずか6歳で城主となった忠晴。
その後見として動いたのが、築城名人として知られる父・堀尾吉晴でした。
吉晴は城地を松江へ移転し、松江城の築城へと進んでいきます。
城が完成した直後、忠晴が亡くなり、吉晴も死去。継嗣がなく堀尾家は断絶します。
その後は京極忠高が入封するものの在任は短く、続いて松平直政が転封。
以後、幕末まで松平氏の治世が続きます。
ひとり旅で城を歩くとき、こういう背景を少しだけ頭に入れておくだけで、
景色が“写真”ではなく“物語”として立ち上がってきます。
城マニア目線で語りたい|松江城天守は「全部入り」の完成形
松江城の天守は、いわば「天守を作るなら、これは入れたいよね」という要素が、これでもかというほど詰め込まれています。
派手に飾るためというより、“城としての理にかなった機能美”が積み重なっている感じ。
この渋さが、城好きにはたまりません。
外観は、渋いのに隙がない(見どころチェック)
- 望楼型天守で、高欄がめぐらされ、上からの視界がとても広い
- 木彫り銅板張りの鯱が載り、天守としての格をきちんと主張している
- 入母屋破風+懸魚の組み合わせが“らしさ”を完成させている
- 花頭窓が、武骨さの中に格式を混ぜてくる
- 鬼瓦がいかつい。柔らかさゼロの「守る城」感がいい
- 石落としや狭間など、防御の意図が外観からも伝わる
- 下見板張りで湿気対策。水の都・松江らしい合理性が見える
ここまで“全部入り”なのに、全体は不思議と落ち着いて見える。
松江城のすごさは、豪華さではなく「完成度」なんだと思います。
内部は意外に広い。現存天守の中でも上位クラス
実は松江城の天守は、現存12天守の中でも姫路城に次ぐ広さを誇ります。
外観の渋さからは想像しにくいのですが、入ると「思ったより大きい」と感じる人も多いはずです。
心柱がない。なら“通し柱”で支える。築城名人の腕の見せどころ
松江城には姫路城のような心柱がありません。
各地で築城ラッシュの時期であったためか、心柱となる木材が手に入らなかったのかもしれません。
それでも天守の構造は、1階–2階、2階–3階、3階–4階それぞれの通し柱で構成され、堂々と成立しています。
割れ隠しや不良木材を使用したため、柱のあちこちに板張りをして、鎹や金輪を多用して留めています。
その補強の痕跡さえ、松江城の“実戦の匂い”として残っているように感じます。
階段が立派なのも、松江城の“意外なギャップ”
防火・防腐のためか階段は立派な桐材でしつらえてあります。
また1階と4階の階段には、戸締り用か籠城用か、引き戸形式の階段用シャッターが設けてあるのも興味深いところです。
最上階は美しく、景色は“額縁の絵”になる
5階部分は、柱がすべて均一の角柱で美しく、外の景色と相まって額縁の絵を見ているようです。
敷居や鴨居があり、建具が入っていたようです。
最上階は、“眺望のための場所”として整えられていたのでは、と感じさせられます。
高欄からは宍道湖や嫁ヶ島が見えることもあります。
そして天守からの眺望を守るために、松江城周辺では建築物の高さ制限が設けられているそうです。
城からの景色が今も守られていると思うと、なんだかうれしくなります。
松江城は“籠城”まで現実的に考えた天守だった
松江城を見ていて感じるのは、「見せる天守」ではなく、
実戦を意識した天守としての思想が濃いことです。
現存天守の中でも、どこか一線を画した存在感があります。
地下に塩倉・井戸が備えられ、籠城の用意が整っています。
“もしものとき”を想定していたことが、構造そのものから伝わってきます。
さらに念が入っているのが、4階に至る階段が城主用と小姓用に分けてある点。
非常時の動線を整理しておくことは、城の運用に直結します。
「美しいだけの城ではなく、機能としての城」──その本気が見えてくる瞬間です。
そして、破風内部に藩主用の箱便所がある。
こういう細部に、籠城時の生活のリアルが滲みます。
知ってから歩くと、天守の見え方が変わります。
最上階(5階)は、城主とその家族の「最期」を意識せずにはいられないつくりです。
そう断言できる根拠があるというより、城の空気そのものが、こちらにそう感じさせてくる。
そこにあるのは悲壮感というより、
城主としての覚悟と責任が、建物の形になって残っているような感覚でした。
まとめ|松江城は、ひとりで整うための“優しい国宝天守”
松江城は、城としての格を持ちながら、
ひとり旅を追い詰めない優しさがあります。
現存12天守の静けさ。
城下町の歩きやすさと、寄り道の心地よさ。
そして、城マニアが唸る“実戦を意識した天守づくり”。
がんばるための旅ではなく、整い直すための旅へ。
松江城は、その入口になってくれる場所だと思います。
あわせて読みたい
・高取城で整う山城さんぽ|城好きの心が静かになる場所
→ 渋い城が好きな気持ちを、もう少しだけ深めたい日に。

コメント